ブリーフセラピーを生かした学校カウンセリングの実際
あとがき
数年前、私は、そろそろ試行錯誤を脱して学校教育相談、あるいは学校カウンセリングについての自分なりの知見をもちたいという思いをもっていました。ちょうどその頃、埼玉県派遣の大学院研修教員となることができ、二年間という時間を与えられました。
大学院の2年間は、教師になってからの追われるように過ごしてきた日常を脱し、これまで積み上げてきた自分の実践をゆっくりと振り返り、研究という形で検証する機会となりました。その時の修士論文「学校教育相談における短期カウンセリングモデルの研究」(1998 兵庫教育大学大学院)が、2000年度に月刊「教育相談」に一年間連載した「短期学校カウンセリングモデルの試み」の下敷きとなり、さらにその連載が本書のもとになっています。
早いもので、その時からすでに2年半がすぎました。基本的な発想は当時と変わっていませんが、修士論文よりも連載の方が、そして連載よりも本著の方が、よりシンプルでクリアになっていると思います。心理臨床的なアプローチになれた人には物足りないと思いますが、私はそれでよいと思っています。ミリックが言うように、教師カウンセラーに必要なのは、明快な理論とシンプルな技法だからです。
現在、私はほとんどの生徒にこのモデルを用いて面接をしていますが、最近は本著には盛り込めなかったいくつかのアイデアも取り入れ始めています。今後さらに改良を加えて、多くの先生方の役に立つものにしていきたいと考えています。また、心理臨床家ではなく私以外の教師カウンセラーの方が、このモデルとは違った視点から、新たなモデルを提案されることを心から期待しています。
本著を閉じるにあたり、感謝したい方々がたくさんいます。浅学で怠け者の私がこのような本を書く機会を与えられたのは、実にたくさんの先生方のご指導と暖かい励ましがあったからでした。この場を借りて、お礼申し上げます。
短期療法についてご指導くださり、スーパーヴィジョンまでしていただいた上地安昭先生。先生との出会いがなければこの本は生まれませんでした。
教師になり立ての頃からご指導くださり、具体的にご支援いただいている中村孝太郎先生。学校教育相談とは何かをその後ろ姿で教えてくださった故飯島英太郎先生。学校教育相談にかかわるきっかけを与えてくださり、いつもご支援いただいている柴崎武宏先生。同じ研究会の先輩で、いつも適切なアドバイスをしてくださる相馬誠一先生。
さまざまな研修の場を提供してくださった森川澄男先生、下司昌一先生、日野宜千先生、松本昌治先生、斎藤英男先生、高部博子先生。
学校教育相談の実践にともに取り組んできた川口青陵高校、越谷東高校の教育相談係の先生方、埼玉県高等学校教育相談研究会東部支部の理事の先生方、埼玉教育相談研究会と埼玉交流分析研究会の先生方、兵庫教育大学大学院でともに学んだ先生方。
研究の機会を与えてくださった埼玉県教育委員会、さまざまな配慮をしてくださった越谷東高等学校長の遠藤英一先生、栗山武司先生、藤浪康義先生。学校を離れるにもかかわらず暖かく送りだしてくださった越谷東高等学校の諸先生。
お名前はあげられませんが、心にかけてくださっていた多くの先生や知人の方々。本書の出版の機会を与えてくださった佐藤敏さん。
そして、失敗ばかりの未熟な私に教師として頑張るエネルギーをくれたばかりか、あまりうまくもない私の面接につきあってくれた多くの教え子たち。
最後に、私を支えてくれている両親と妻裕香、いつも元気な結莉と一樹に感謝します。
2001年7月
著者