書きこみ式自分史 マイセルフ グラフィティ


 <著者より指導者へのメッセージ>


 今、私の手元に2行のメモがある。何かの写しなのだが出典は覚えていない。が、メモに残っていたのは、気になるところがあったからだろう、と思う。
 「自分について語ることばを持たない」
 「私について考えるチャンスがないまま育ってしまった子供たち」
という2文である。
 何が気になったのだろうか?……1枚のコインの裏表の関係にあるようなこの文から連想されるものをたどってみよう。
 一つは、今日の子どもたちや若者の「脆さ」、すなわち、この文への「7割方」の同意であろう。
 もう一つは、こんなふうに言わせてしまう表現教育の非力さの痛感。それ故の無念と反発である。

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 私は、この10年間は大学生を相手に「10代への置き手紙」と名づけたソフトで、それ以前は高校生を相手に「どきゅめんと おれ」というソフトで、自分史作成を指導してきた。
 この体験を通していくつか確かめられたことがある。
 その一つは、この自分史作成は、セルフエスティーム(自己肯定・自尊感情/かけがえのない自分発見)醸成にかなり効果を発揮する、ということである。よって、中途で折れてしまった者たち、目標を持てずに漂流する若者たち、荒れている少年たち、そして、就職活動のまっただ中にあってもPRすべき自己を探しあぐねている大学生、そういった若者たちに有効である。
 二つには、「書くことの楽しさ」とは無縁だった者に、文章表現にはこんな接し方もあるんだ……という、これまでの表現学習で植えつけられてしまった縛りからの解放感が生まれる。たどたどしかったけれど、ともあれモーツアルトを自分なりに一曲弾き終えたぞ、といったような充実感が伴うのを目撃できる。

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 この自分史『マイセルフ グラフィティ』は、様々な使い方ができる。
・「指導の手引き」は、そのことを理解していただくために、以下に示す2観点から、各ページ(ソフト)の特徴がわかるように要点を絞って表を主体にしてある。
 1 「セルフエスティーム/自尊感情から見た教材と学習の関連」
 2 「国語教育教材としての役割」
 また、若干の解説(補足)も加えたのでご利用願いたい。
・使い方として最も望ましいのは、作品として完成させる形である。が、部分(個々のページ)を取り出し、目的(進路指導、HR学習、生徒指導、カウンセリング等)に応じ使うことも可能である。
・各ページの作成要領(指導)は「記入ガイド」参照されたい。

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